「ゴルフをみんなのスポーツへ」2014年ゴルフ新年会開催
ゴルフ17団体が参加する「ゴルフ新年会」が、22日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催され、多くのゴルフ関係者が集まりました。2014年の活動方針には、ゴルフの活性化を目指したものや、社会貢献に積極的に取り組むことなどを示した目標が挙げられました。2020年、東京オリンピック開催決定という喜ばしいニュースも、ゴルフ界にとって明るい話題となりました。
「ゴルフサミット会議」では、2014年の活動計画として、以下、4つのテーマが決まりました。
「ゴルフの活性化をはかる」
「ゴルフ界は社会貢献に積極的に取り組む」
「ゴルフ場利用税廃止運動の継続」
「国家公務員倫理規程における『ゴルフ』の削除」
17団体を代表して、日本ゴルフ協会安西孝之会長よりご挨拶がありました。2013年のレジャー白書によると、ゴルフ人口はピーク時の1400万人から、790万人まで減少しており、ゴルフ場にゴルファーを呼び戻すための取り組みが必要とされています。昨年、ゴルフサミット会議で制定され、8月に行われた「ゴルフ・ウィーク」もその活動のひとつ。さらに、今年9月には、世界アマチュアゴルフチーム選手権が、軽井沢72ゴルフで開催されます。世界のトップアマの戦いの場となる日本。世界から注目を集める飛躍の機会でもあります。安西会長は「ぜひ国民からゴルフの関心を集め、経済回復のいい兆候と合わせて、ゴルフ界から明るい話題を提供していきたい」と、今年の活動に期待を込めました。
また、ゴルフをもっと国民に楽しんでいただきながら、国内選手の強化も必要になってくるだろうと文部科学省政務官の冨岡勉氏の話がありました。2020年の東京オリンピックに向けては、若い世代の選手を育てる施策をつくる必要で、ゴルフ界全体で取り組みが求められています。また日本オリンピック委員会の竹田恆和会長も来場され、政官民というオールジャパンで勝ち取った、感動的な2020東京オリンピックの話もありました。リオオリンピックからゴルフは正式種目。ますますゴルフが盛んになるとともに、国民の競技力も上がり、オリンピックの舞台で国民の期待に応えてもらいたいという思いがあります。大会の成功に向けて、引き続きゴルフ界でも努力を続けていきたいという内容でした。
今年もゴルフスポーツに注目していただけるよう、ゴルフファンの関心を集める明るい話題を提供していく所存です。
資料提供:(公財)日本ゴルフ協会HPより
2014年ゴルフ新年会 新春特別講演
「2020年に向けて〜がんばれ日本のゴルフ」講演:水野正人氏
ゴルフ関連17団体が主催した「2014年ゴルフ新年会」では、賀詞交換会に先立ち、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会CEOの水野正人氏が新春特別講演を行った。水野氏は昨年9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた第125回IOC(国際オリンピック委員会)総会での最終プレゼンで、大きな身振り手振りを交えたスピーチを行い、東京オリンピック招致の立役者となった一人。
演題は「2020年に向けて〜がんばれ日本のゴルフ」で、招致に向けて必要不可欠だった6つの大切な要素、IOCの抱える3つの懸念材料、招致活動の裏話など、内容は多岐にわたる。それでは以下より、同講演内容を抜粋してお届けする。
東京五輪招致に必要不可欠だった6つの要素
2013年9月7日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されたIOC総会。現地時間午前10時半からスタートし、イスタンブール(トルコ)、東京(日本)、マドリード(スペイン)の順番で招致に向けた最終プレゼンテーションが行われた。
日本のプレゼンテーター(登壇順)は、高松宮久子妃殿下、佐藤真海さん(パラリンピアン)、竹田恆和氏(招致委員会理事長)、水野正人氏、猪瀬直樹氏(前東京都知事)、滝川クリステルさん(招致アンバサダー)、太田雄貴氏(オリンピアン/招致アンバサダー)、安倍晋三氏(内閣総理大臣)の計8名。周知の通り、同総会で2020年の東京オリンピック開催が決定。水野氏を含めた招致委員会のメンバーはもちろんのこと、日本中が歓喜に沸いた。
「1度のチャンスで招致するということは、過去の歴史から見ても非常に困難ということは分かっていました。ですから、2020年に東京でオリンピックを開催するためには、2016年の招致活動も必要で、実に8年がかりで東京オリンピック招致が成就したという訳です」
そう水野氏は語る。1回目の招致活動で学んだことを、2回目に活かす。2度目の招致活動は、メンバー全員が「ミスゼロ」を合言葉に活動を行ってきたという。
「ようするに、2016年と2020年の招致活動は一体ということです。そして、オリンピック招致には次の6つの要素が必要不可欠でした。まずは、『計画性』。商売に例えるならば商品の品質。それが粗悪で、機能がなければ売れないことと同じです。
そして、『国民・都民の支持』。最初は47%という低い支持率でスタートしましたが、最終的には92%まで国民からの支持率をもらうことに成功しました。
3つめは『国内外の広報活動』。自分たちの考えを、国内のみならず、国外にも訴求。東京でオリンピックを開催することの素晴らしさをアピール。
4つめは『立候補地の査定評価向上』。IOC委員が東京に訪れた際、査定評価を上げてもらえるような対応をとるということ。
5つめは『プレゼンテーション』。IOCに対するプレゼンテーションを5月、6月、7月、そして最終の9月と計4回行いました。
最後に『ロビイング』。いわゆるロビー活動です。100名ほどいるIOCメンバー一人一人に話をして東京オリンピック開催を理解・応援してもらうということが必要です」
以上、6つの要素を紹介したが、これをゴルフ業界と置き換えるならば、『計画性』は水野氏がいう商品開発につながる。『支持率』はブランドの人気度やシェアの向上。『広報活動』は広告・宣伝や媒体での紹介などにつながるし、『プレゼンテーション』『ロビイング』は、商品を購入するエンドユーザーへのPRや、アフターフォローにつながる。特に、『ロビイング』について水野氏はこう語る。
「ロビイングで一番重要なのは、委員の話に耳を傾け、話を聞くということ。委員との友情を深め、信頼を高めることが理解につながるのです」
やはり何事にもおいて、重要なのはコミュニケーション。一方的に意見を述べるのではなく、話を聞き、受け入れ、それを商品開発などにフィードバックしていくことが大切といえるのではないだろうか。当協会の会員企業の皆様においても、これらの要素を大切に活動していると思うが、オリンピック招致という異なる舞台においても同じことがいえるということだ。
IOCが抱く3つの懸念
過去、オリンピックにおけるゴルフ競技は、1900年と1904年の2回にわたり開催されている。その後、長らくオリンピック競技から除外されていたが、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックから復活することが決定。国際ゴルフ連盟によれば、リオ大会では4日間ストロークプレーを実施。出場資格は、世界ランク上位15名とそれ以外の各国最大2名までの合計60名が参加する予定となっている。
「ゴルフが正式種目として復活し、2020年東京オリンピックでは、『霞ヶ関カンツリー倶楽部』での開催が決まっております。これを機会に、ゴルフ界が一丸とならなければいけません。
日本は世界でみても、確固たるゴルフ大国です。減少したといっても、800万人ほどのゴルフ人口があって、約2000コース以上が存在します。ですから、2020年に向けて若者を育て、成果を出す必要が日本のゴルフ界にはあるのです」
そう水野氏は力説するが、IOCはスポーツ全体に対して、3つの懸念材料があるという。
「1つめは『ドーピング』。日本ではあまりみられないですが、世界的にみると増加傾向にあります。
2つめは『違法な賭け』。これが行き過ぎると、八百長につながり、スポーツ全体の価値が下がってしまう。
3つめは『若者のスポーツ離れ』。これは非常に切実で、我々が次世代の若者たちに、スポーツの楽しさを教え、伝えていかなくてはなりません。国内のゴルフも高齢化が進み、若年層ゴルファーが減っています。このような現状を踏まえ、日本のゴルフ界もジュニア競技の増加、スナッグゴルフを広める活動をするなどして、ジュニアゴルファーを増やす活動を続けています。このような活動でボトムアップを図り、それが、未来の金メダリストを生み出すことにつながっていくと信じています」。
ゴルフ新年会は今年で17回目。以前は各団体・協会が個別で行っていた新年会を、ひとつにまとめ上げた先人たちの努力がある。17もの団体が一堂に会し、業界全体の課題を話し合うことで一丸となり、それが業界の発展につながっていく。やはり、日本で開催するオリンピックのゴルフ競技で、日本人の金メダリストをみてみたいと思うのは自然だろう。2020年に向け、業界全体がいかに協力し合い、盛り上げるかがこれからの課題といえそうだ。
資料提供:(一社)日本ゴルフ用品協会JGGAニュースより